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第24回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:かおばな憑依帖/三國青葉

かおばな憑依帖
1.猛母参上!
2.北辰の誓い
3.嘆きの夾竹桃
4.怨霊の紅き瞳
5.東海道地獄旅
6.城塞戸山荘
7.無慈悲な朝顔
8.決戦の時
9.終わり良ければすべて良し?

answer.――― 67 点

人智を超えたスーパー破天荒な時代小説誕生!との紹介文だが、先に結論から書いてしまえば、破天荒な時代小説と云えば聞こえは良いが、端にまとまり切れなかった時代小説というのが本作の実態だろう。八代将軍の治世、その将軍位の簒奪を狙い、ばらまかれたのは朝顔の毒!というように、パッとしたまとめ方をすれば、江戸時代というチョンマゲ社会に不似合いなモダンなバイオテロを予感させてくれるが、―――幼き田沼意次?吉宗?母親の生き霊?怨霊?隠密?柳生?猫又?……ぞ、象!?ええいっ、何でもござれ!この美貌のどら剣士がまとめて成敗してくれる!と雑な作品紹介を付け加えられれば著者でなくとも渋面になるように、アイディアを精査せずに盛りに盛って、スマートから遠ざかるセンスが残念。時代小説に限らずだが、オリジナリティに過大な自信を持つ、あるいは、ソレを求めてしまうと、肝心の「作品」自体が壊れてしまうことが多々ある。ストーリーさえしっかりしていれば、オリジナリティなんてものはほんの一つまみでも良いのだ。本作は《ばらまかれた朝顔の毒》というストーリーが(オリジナリティさえ伴って)良いのだから、せいぜいあとは「幼い田沼意次」だけで十分だった。また、視点切り替えを扱い切れていないのも頂けない。何のために視点を切り替えるのか?そこには最低でも(読み手にとっての)リスタートの意味合いが欲しい。雑多なアイディアの導入、安易な視点切り替えの多用、ストーリーがボヤける場面処理……総合的な観点で筆力の不足は明らかだ。それでも、評価したくなるのは美貌のどら剣士。偉大な老母の過干渉に心の内で毒づく様は成る程、愛すべきマザコン・デザイン。本作は、この主人公と母とのやり取りで大分救われている。しかしながら、俺なら―――と踏み出すなら、本作は「幼い田沼意次」だけで創るのが正解ではないかしらん?そんな大本のストーリーの魅力に著者自身が気づいていない、勿体無い作品。

第24回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:かおばな憑依帖/三國青葉

category: ま行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 60点 三國青葉

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