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第11回えんため大賞 優秀賞:空色パンデミック1/本田誠

空色パンデミック
1.見知らぬ彼女の敵討ち
2.キス騒動
3.女装のススメ
4.躍る舞台と君の本音
5.夏の終わり、別離は唐突に
6.セカイを敵にまわす時

answer.――― 74 点

中二病を題材にする作品は多々あるが、その際の作品への落とし込め方は、キャラクターへ病的、狂信的に反映させて、作品をある種のホラーテイストに染める仕掛けとして扱うか、あるいはその真逆、《イタい》を軸に主観&客観を交えてのコメディとして扱うか、の二つに大別出来ると思うが、本作は中二病を「空想病」なる文明危機招くアラートな病として昇華させたインテリジェントな一作。物語はボーイ・ミーツ・ガール。何の変哲もない草食系男子高校生が「空想病」罹患者のヒロインと出会い、言葉でしか知らなかった「空想病」とそれを政府レベルで管理する現実を目の当たりにしながら、自らも「空想病」に携わる「キャスト」の一人として巻き込まれていく、という流れ。全体的な雑感を先に述べれば、とにかくこの作家、分かってるな、……と。各場面、展開が理詰めで演出されている。「流行り」の中二病と「定着」したセカイ系をリンクさせた世界で、Teenが「普遍」的に求め続けるボーイ・ミーツ・ガールで始まり、あたかも目の前に在るような「風変わり」な日常を描く。―――ここまではその辺の作家でもセンス一本で出来てしまうことも多いのだが、そんなセンスに頼んで創っていると盲点となるのが、自作への「否定」の選択肢が消えてしまうことだ。作品の中に出てくる作品、いわゆる「作中作」は多くの作家が踏み外す分の悪い仕掛けのひとつ。出来の不出来にかかわらず、「作中作」は前提、読み手の読書を妨げる演出(理由は推して知るべし)で、入れざる得ない場合、相応の工夫が求められる。《演じる》というキーワードを基に編まれただろう本作でも、「作中作」は当然のように挿し込まれ、案の定の読み手の集中力を削ぐ水差し場面となったが、そこから文字通りの《アドリブ》で「作中作」を自発的に壊してくれた。その他にも、サブヒロインの性別、息づく360°な「転」展開、雪だるま式の被害拡張といちいち演出に理が根づく。題材的にコメディ要素も兼ねている弊害で、どうしてもシリアスに捉えきれない難があるが、タイプミスとさえ錯覚させる残り一頁で「この話はセカイ系です(笑)」と告げる著者の遊び心が憎らしい。ややいぶし銀の作風ながら、ライトノベルの典型的良作。この作家は続刊させて伸びるタイプじゃないから、編集部は単発モノで「代表作」を創らせなさいな。

第11回えんため大賞 優秀賞:空色パンデミック1/本田誠

category: は行の作家

tag: えんため大賞優秀賞 OPEN 70点 本田誠

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