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第22回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:月のさなぎ/石野晶

月のさなぎ
1.兆し
2.雪の音
3.証し
4.祝祭前日
5.降誕祭
6.森の中
7.再び森の中
8.清めの官女
9.奇跡の在処

answer.――― 72 点

月童子の性別が決定するのは、大抵十八歳の誕生日を迎える前後だ。「石野文香」名義で第8回小学館文庫小説賞を受賞した著者が、勇んでデビューしてはみたものの、出版社のプロデュースに不満でも持ったのか、本名で投稿しての「日本ファンタジーノベル大賞優秀賞」受賞、事実上の再デビューを飾った本作「月のさなぎ」。その概要は、年に一度の降誕祭迫る中、いよいよ性別定まりつつある月童子たちが抱く想い、そして、隔離された施設に忍び込んできた少年がもたらす、……というもの。まず否が応でも目につくのは、性別の定まらない月童子たちの世界を彩る耽美な文章。向き不向きがあるにせよ、耽美な文章は「音」と「色」、この二点を意識していれば擬似的に出来るものだが、著者はそこを押さえた上で「水」を織り交ぜてくる辺りが《向き》の証明。著者自身も己の「筆」をセールスポイントと意気込み、冒頭からしばしストーリーを放り出すリスクを冒してまで「筆」をフルスウィング!している。このような書き口は読み手の性差で評価がよく分かれる印象が個人的にあるのだが、選評を読むかぎりはやはり女性が支持する模様。登場人物の出し方が雑で、「誰の」ストーリーなのか定まり切らなかったのは大きなマイナスだが、要所で「動」的イベントを起こし、耽美作品特有の筆にかまけ過ぎての中弛みを回避しようとした努力は好感。「転」となる事件の、作中世界観を絡めた謎解きは十人前ながら、突きつけた「私の愛は、私だけのものだ」は耽美主義者の(――― ゚+。:.゚(*゚Д゚*)キタコレ゚.:。+゚)誘うフレーズで、この台詞のために本作はあると言って過言ではないだろう。とりあえず、まずは「筆」が気に入るか否か、な一作。

第22回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:月のさなぎ/石野晶

category: あ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 70点 石野晶

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