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第19回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:ブラック・ジャック・キッド/久保寺健彦

ブラックジャックキッド
1.患者はどこだ!
2.VS.ブラック・クィーン
3.遡る日
4.死神と一緒
5.トリオで妄想
6.さらば、B・J

answer.――― 76 点

漫画の神様・手塚治の晩年の代表作として知られる『ブラック・ジャック』。その名は、現代の日本においてはおそらく同名のカードゲームよりも有名で、葉に衣着せたい漫画界のビッグマウス・ラウドこと佐藤秀峰は『ブラックジャックによろしく』なんて見事なサンプリングを行い、読む前から内容以上の衝撃を読者に与えたものだが、本作の表題『ブラック・ジャック・キッド』もそんな成功例に倣った命名だろう。もっとも、その看板だけを拝借して『ブラック・ジャック』と何ら関係のないストーリーが展開する同作と違い、間黒男からピノコ、キリコにブラック・クィーン、メス投げ、黒コート、「南無三!」に始まる台詞、各エピソード紹介―――と、本作はブラック・ジャック(そのもの)になりたい中2病全開の小学生・和也によるイタくてほろ苦い、前提「ブラック・ジャックは読んだことありますよね?」なハートフル・ファンタジーが展開される。「シャーシャーシャ」、―――この台詞が出てくる度に私の胸は高鳴った。というか、マジで爆笑した。「シャーシャーシャ」とは、移動線の効果音である。ブラック・ジャックがピンチなりで走るとき、シャーシャー流れるシャープな移動線、それをイメージして主人公が口にするとき、学校一の快速になる。そして、メス投げはメスが無いとのことで、ドライバーを投げる。全然刺さらなかったが、努力の末、射程距離5~6メートルというスター・プラチナを超える射程距離を手に入れる。2章【VS.ブラック・クィーン】では、小4にしてクラス一の美少女を相手にSEXと知らずSEXに挑む。しかし、そんなコミカルでイタい調子が続くのかと思えば、3章を境に将来の夢はブラック・ジャック(そのもの)!なんて戯言は哀しい現実を前に語れなくなり、4章ではブラック・ジャックからキリコとなって孤独に陥る。しかし、そんな境遇の中、(『ブラック・ジャック』以外の)ファンタジーと親友たちとの出会いに救われ、また「シャーシャーシャ」で〆るドラマはほろ苦くも爽やかの一言に尽きる。『ブラック・ジャック』の既読前提、投げ終わりなラストは明確な欠陥と云えるが、読みやすさとノスタルジー、何より馬鹿なことでも続けるとスーパーマンな結果が出てしまう事実を描いた点が素晴らしい一作。ただ、小学生時点で〆ず、大人になるまで描いて欲しかった、というのが読み手の正直な感想だろう。手間を考えて省いたのか、そもそも思いつかなかったのか。その辺は勿体無く感じるが、個人的には大いに楽しめました。

第19回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:ブラック・ジャック・キッド/久保寺健彦

category: か行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 70点 久保寺健彦

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