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第8回本屋大賞 6位:叫びと祈り/梓崎優

叫びと祈り
1.砂漠を走る船の道
2.白い巨人
3.凍れるルーシー
4.叫び
5.祈り

answer.――― 72 点

「ミステリの技巧とロマンティックな文章力を併せ持つ、注目の大型新人。」なる紹介から―――はてさて、ロマンティックな文章とはなんぞや?と訝しんで読んでみれば、何のことはない、外国を舞台にした故の(読み手側による)副産物だった。本作は08年のミステリーズ!新人賞受賞作である第1章「砂漠を走る船の道」から派生させた短編連作ミステリー。概要としては、雑誌社に勤める7ヶ国語を操る青年が世界各地を巡り、そこで出会うファンタジックな謎を解いていくというもの。1章はアフリカ、2章はスペイン、3章はロシア、4章は南米、そして、終章は東ティモール……と、まさに主人公は舞台を転々とし、その舞台は舞台でそれぞれ「砂漠」「風車」「修道院」「熱帯雨林」「紛争」といったオプションを付けて異世界風味にアレンジしているのが特色。上述でロマンティックな文章は副産物と書かせて頂いたが、人物描写、風景描写には力を注いでいるのは確認出来るので、著者自身も「筆」を自覚的にセールスポイントにしたいことが伝わってくる。しかしながら、舞台選びのセンスは買えるものの、その異世界の雰囲気を出すため振り回され、描き過ぎな印象。もしかするとミステリーの要素は《売り物》に仕上げるためのオマケ的感覚なのかもしれないが、そうでないならば読み手をもう少し意識して演出するべきだろう。各殺人は加害者の《世界》に触れた背景があり、興味深いものの、トリックそれ自体は構成美あるものではなく、カタルシスはまず得られないだろう。そんな中にあって表題の一端である4章【叫び】はこの著者ならではといった倒錯的悲劇。舞台派生からのアイディアが、疫病からの不合理な殺人の連鎖に説得力を与えている。この【叫び】が今後の著者の道標だろう。ロマンティックな文章(←あくまで読み手が見い出している点に注意)、ミステリに固執していると危ないだろうね。

第8回本屋大賞 6位:叫びと祈り/梓崎優

category: さ行の作家

tag: OPEN 70点 梓崎優 本屋大賞

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