ナマクラ!Reviews

03/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./05

第24回山本周五郎賞 受賞作:ふがいない僕は空を見た/窪美澄

ふがいない僕は空を見た
1.ミクマリ
2.世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸
3.2035年のオーガズム
4.セイタカアワダチソウの空
5.花粉・受粉

answer.――― 81 点

1章「ミクマリ」が《女による女のための》と謳うR-18文学賞の受賞作という事実からも察せられる通り、Sex,Drugs,& Violence!のエンターテイメントの金科玉条【禁忌編】の第1条を担うSEXを明け透けに施した窪美澄のデビュー作。小説の型としては書き手に優しく、読み手にも優しいwin-winな連作短編で、上述の「ミクマリ」で早々に披露される高校生と主婦によるだらしないコスプレセックスを筆頭に、捻りの利いたスキャンダラスなVivid Entertainmentが展開されている。しかしながら、Sex,Drugs,& Violence!の金科玉条は守れば守るほど、エンターテイメントの純度は増すものの、その反動でともすれば陳腐化するものだが、著者はその辺を理解していて、前提の「セックス」の上にしっかりとスキャンダラスな「転」開を仕込んでいるのが素晴らしい。各短編の登場人物たちは「セックス」によって誰もがホロ苦く傷つくのである。1章「ミクマリ」の主人公・卓巳は若気の至りから初恋と気づいてスキャンダル「性(Say!)」、2章は卓巳を落とした主婦・里美の人生がスキャンダル「性(Say!)」、3章は卓巳にほの字の同級生・七奈が自暴自棄になってスキャンダル未遂「性(Say!)」、4章はそれまでとは角度を変えて卓巳の友人・良太がFuck!My Life!と中指突き立てて、しかし結局、スキャンダル「性(Say!)」、そこから〆に5章では卓巳の母親が自ら運営する助産院でアクシデント「生(Say!)」―――と、辿り着けば本作が「性」と「生」を交錯させた物語だと解る。堅実な文章で綴られた一本「筋」の通ったエンターテイメントで、読後感は良い。ストーリーの流れと配置的に4章「セイタカアワダチソウの空」がベストに挙げられるのは当然ながら、ややくどいものの、2章「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」はちょっとしたお奨め短編。いわゆるBitch!を描いているが、この手のBitch!に視点を与えているのは物珍しく、それでセックスを気持ち良いものとして捉えていないのがまた適当に感じる(*゚∀゚*)イイネ!!

第24回山本周五郎賞 受賞作:ふがいない僕は空を見た/窪美澄

category: か行の作家

tag: OPEN 80点 窪美澄 本屋大賞 山本周五郎賞

[edit]

page top

« 第25回山本周五郎賞 受賞作:楽園のカンヴァス/原田マハ  |  第23回山本周五郎賞 受賞作:後悔と真実の色/貫井徳郎 »

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/901-8a28c810
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top