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第6回本屋大賞 3位:ジョーカー・ゲーム/柳広司

ジョーカーゲーム
1.ジョーカー・ゲーム
2.幽霊
3.ロビンソン
4.魔都
5.XX

answer.――― 80 点

01年の『黄金の灰』でのデビュー以来、歴史上の偉人をKeyキャラクターに配する作風で定期刊行しながらも代表作らしい代表作を打ち立てられずにいた柳広司が心機一転、オリジナルキャラクターで編んだ連作短編のスパイ・フィクションが本作「ジョーカー・ゲーム」。出版年の08年に「このミステリーがすごい!」で第2位、週刊文春ミステリーベスト10で第3位にランクイン、翌年の09年には第30回吉川英治文学新人賞、第62回日本推理作家協会賞を受賞、そうして、この第6回本屋大賞でも第3位―――と、この一作を以って著者を流行作家の端くれに成り上がらせた。一読しての印象は連作短編という性質を活かした手堅いエンターテイメント作品で、降って湧いたような称賛も「さもありなん」といったところ。時代設定は我らジャポネにとって終末を連想する太平洋戦争突入前の昭和10年代。「進みて死ぬるは身の誉れ」の御時勢にその真逆「死ぬな、殺すな」を説く結城中佐をKeyキャラクターに、スパイ養成機関“D機関”、 その5つのエピソードが披露される。主人公はその都度、“D機関”の生徒で、言わずもがななエリート中のエリート、それで偽名で人生を全うすることを厭わない「超人」たち。そんな彼らがスパイ活動の最中に遭遇する謎に冷ややかに戸惑い、危機を脱する様に移入し、そこから読み手に戻ってスパイの掟を再確認するのが本作の醍醐味だ。謎を解くと云うより、天才にも拘わらず逆境に立たされる状況を提示する展開はやはり物珍しく目を惹く。主人公リセットが出来る連作短編という形を含め、構造の勝利と云える作品だろう。ただ、第1章である表題「ジョーカー・ゲーム」は“D機関”を敵視する陸軍からのスパイ・佐久間が主人公であり、彼自身も非凡ながら同僚たちを「化け物」と恐れる小物っぷりは実に愛すべきキャラクターだった。個人的には結城中佐の寵愛を受ける異色のキャラクターとして、シリーズを通した主人公にして欲しかったな、と。

第6回本屋大賞 3位:ジョーカー・ゲーム/柳広司

category: や行の作家

tag: OPEN 80点 柳広司

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