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第5回本屋大賞 4位:悪人/吉田修一

悪人
(あらすじ)
保険外交員女性・石橋佳乃が土木作業員・清水祐一に殺された。清水は別の女性・馬込光代を連れ、逃避行をする。なぜ、事件が起きたのか?事件当初、容疑者は裕福な大学生・増尾圭吾だったが、拘束された増尾の供述と新たな証言者から、容疑の焦点は清水に絞られる事になる。

answer.――― 77 点

02年に『パレード』で第15回山本周五郎賞を受賞、同年に続く『パーク・ライフ』で第127回芥川賞を受賞といった「文学」出自の作家として離れ業とも云える華々しい受賞歴を持つ吉田修一が手掛けた本作「悪人」は朝日新聞で連載された長編作品。物語は、保険外交員の絞殺事件の犯人捜し、そして、その犯人の逃避行を軸に、《人間》を描いていく群像劇。一日一節を求められる新聞連載という形式から、etc...に数えられるような人物が視点人物になったりの忙しい視点切り替えに集中力を切らす難こそあれ、そんな群像劇故に文学作品特有の「1」対「1」の小さな世界で終わらないのが本作の魅力だ。この本屋大賞に選ばれたように、被害者、そして、容疑者が日常で装っていた「嘘」を描いていく展開は、誰が殺したのか?(実は……!)なミスリードを提示されているような錯覚に陥り、思わぬエンターテイメント感覚を得られる。しかし、そういう意味では【そんな彼を殺人に走らせたものは、一体何か―――。】という本作の紹介文は頂けないミスらしいミスと云えるだろう。ながらに、ともかくの《悪人》である。―――何が悪人なのか。―――誰が悪人なのか。本作は九州の地方都市を舞台に、市井の、実は多くがそうである、ワーキングプアを真摯に描いている。そして、抜け出せない現実に目を背ける登場人物たちが作る「嘘」を剥いでいく。その中で殺人が起こり、庇い、庇われ、好かれ、蔑まされ、騙され―――殴られ、裏切られる。殺人は衝動で起こり、その事件には必ず背景があることを本作は教えてくれる。個人的には、陰の主役とも云える被害者・石橋佳乃の振る舞い、周囲の言及に興味を惹かれたが、この辺は私が男だからかね?とりあえず、「文学」にノミネートされる作品ながら、大衆に支持される吉田修一に「天晴れ」。上下巻、合わせてのレヴューです。

第5回本屋大賞 4位:悪人/吉田修一

category: や行の作家

tag: OPEN 70点 吉田修一 本屋大賞

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