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第19回ファンタジア大賞 準入選:量産型はダテじゃない!/柳実冬貴

量産型は伊達じゃない!
1.空の伝説
2.低コストが売りです。
3.赤の英雄、紫の使者
4.そして、緑の凡人
5.アンリミテッド!
6.量産型はダテじゃない!

answer.――― 70 点

クライマックスを前にしての感想は、勿体ねえな、と。本作の概要は、最新型ヒューマノイドであるアルティメットドール(通称UD)の英雄・シュナイダーに新型パーツを届けるべく、天才科学者ヘキサ(14/♀)はヘタレ中佐アインツヴァー率いるオンボロ戦艦に乗り込り込むも敵艦に撃墜され、辿り着いた砂漠の先で見つけたものは……、というもの。さっそくの冒頭、シャア・アズナブル×量産型=3倍なネタを放り込まれて、悪い意味での想定通りにげんなりとさせられた―――が、しかし!コミカルな表題、コミカルな表紙に忌避感持つ勿れ。本作は読み手の先入観を見事に裏切る硬派な一作。―――己の不幸を笑って懐古出来るロボット。誰しも文化人を気取れるこの時代、そんな一言を送れば皆さまには本作の魅力が伝わることでしょう。逃避行の最中、「緑の凡人」ナンブが語る己たちに降り注いだ悲劇は、ロボットだからこそのリリカルが在る秀逸なモノで、続く新型勢のシュナイダー&ヴァイオレット、コメディが消え始めて「悲しいけどこれ戦争なのよね」にスイッチしても違和感を感じられない。と云うことは、……このヘタクソ!!と著者のよりにもよってな序盤の構成ミスを罵倒したくなる。クライマックスを前にして確信する本作の構造的欠陥に著者が気づけなかったことを嘆きたくなる。……(きっと)面白かったのに。構成ミスの発端(実は見開きのイラストの影響も多分にある)は、始まりをヘキサたちに任せたことだろう。これが読者に「コメディ」という誤った先入観を植え付けてしまった。本作は量産型のナンブ(の孤独)から始めるべきで、「起」の精査が不十分だったと言わざるを得ない。そうして、上述の―――が、しかし!の盛り返すよもやの中盤から「やってきました、最終決戦!量産型vs新型!ナンブ、腕はもがれの大苦戦!しかし、善戦!善戦しています!あっ、ナンブが大破!大破!しかし、ヘキサが駆け寄った!無理か!?無理なのか!?いや、直った!直った!ナンブ、再び立ち上がった!」、……そんな訪れる「熱い」クライマックスは苦虫を噛み潰したくなる展開だろう。描けていないからではない、描けている故に構造的欠陥が浮き彫りとなっていくのだ。八百長とプロレスは同じようで全く違う。ライトノベラーはピーターパンだ、プロレスが大好きだ。だからプロレスには声を上げるし、涙も流す。でも、だからこそ……「読めない」展開はプロレス、「読めてしまう」展開は八百長と解釈して、たとえ同じ着地点でも評価の明暗をくっきりと分けてしまう。量産型ならば量産型らしい戦い方があるはずだ。きっとガンダムが好きなんだろうから『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』も観たことがあるだろう。風船でも飛ばしてみろって。真っ正面からぶつかってどうして勝てるのよ?と不満はあるにせよ、ライトノベル感溢れる作品で、ロボット好きな方々は絶品の中盤―――己の不幸を笑って懐古出来るロボット「ナンブ」を要チェックだ!

第19回ファンタジア大賞 準入選:量産型はダテじゃない!/柳実冬貴

category: や行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 70点 柳実冬貴

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