ナマクラ!Reviews

05/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./07

第2回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:銀盤カレイドスコープ vol.1&vol.2/海原零

銀盤カレイドスコープ
1.ショート・プログラム:Road to dream
2.フリー・プログラム:Winner takes all?

answer.――― 78 点

第2回スーパーダッシュ小説新人賞《大賞》受賞作ながら、「vol.1」「vol.2」と2冊に分けて刊行された本作『銀盤カレイドスコープ』はフィギュアスケートを題材にした物珍しい逸品。今でこそ冬の風物詩として定着した感のあるフィギィアスケートだが、出版年の03年頃はまだまだメディアも積極的に取り上げる競技では無かっただけに、時流に先駆けた題材と云え、現在でさえおいそれと見掛けないことを鑑みても、当時は増し増しで「マニアック」な作品だったと云えるだろう。しかしながら、シリーズ全10巻という事実が示すように、その初出となる本作のクオリティは時間の浸食を許さない確かな出来で一言、素晴らしい、に尽きる。物語の概要は、日本屈指の実力を持つ現役女子高生のフィギュアスケーター・桜野タズサ(16)が五輪選考会を前にカナダ人の少年の幽霊に憑依され、苛立ち戸惑いつつも、いつしか……というもの。兎にも角にも、まず称えたくなるのはヒロイン、桜野タズサの「高飛車」「毒舌」と作中でも評される一人称。「怒」を中心とした表題通りの万華鏡に違わぬ様ざまな顔を魅せてくれる。勝ち気なヒロインの一人称、―――これこそライトノベルにとっての白銀比とも云える愛すべき文体だが、「vol.1」に関して云えば「上手い」ながらも故に「旧さ」も目立ち、現代っ子にはともすると「下手」にさえ映るかもしれない。がしかし、「vol.2」における語彙を途端に増やし、表現力のギアを上げての「上手い」から「巧い」へ転じる瞠目の変化には舌を巻くだろう。フィギュアスケートを題材にしていると云うことで、個人的に「SP」と「FS」で被るであろうフレーズの使い分けをどうするのか留意して読んでいたが、―――まさか、「変えてくる」とはね!アイディアに満ちた解決方法に著者へ拍手を送りたくなる。語彙の引き出しから(……本当に1人で書いたのか?)と疑いもしたが、2冊で1冊、この「vol.2」のために抑制していた、なんて背景のあるほうが作品への浪漫がある。注文をつければ、クライマックス場面では創作上の人物ではなく、実在の人物に変えるべきだっただろう。そのほうが知識面でも魅せられ、より楽しめたと思う。過去作故に、現在の採点方式と違う(6.0満点方式)のは致し方ないところ。それを補って余りあるドラマが本作にはある。Teenが読むに相応しいライトノベルらしいライトノベル。「vol.1」から「Vo.2」へのビルドアップは必見!の一人称の快作だ。【推薦】させて頂きます。「vol.1」&「vol.2」、合わせてのレヴューです。

第2回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞:銀盤カレイドスコープ vol.1&vol.2/海原零  【推薦】

category: か行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞大賞 OPEN 70点 海原零

[edit]

page top

« 文春文庫:イン・ザ・プール/奥田英朗  |  第2回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:ネザーワールド ‐カナリア‐/東佐紀 »

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/945-f21aca9e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top