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この受賞作を読め! 【電撃小説大賞:第1回 ~ 第10回!】

今や天下に号令をかける電撃小説大賞の黎明期からいよいよ攻勢に転じる成長期直前と云える【第1回~第10回】までの受賞作から5作+次点をチョイスしてみました。短評、総評もつけたので、過去の受賞作に興味がありつつも未読のまま、……な方は参考にしてみて下さい。では、始まり始まり~!

* 作品タイトルをクリックすると、その該当作品のレヴューページに飛びます。

同級生と大人たちに色々な卒業を迫られるライトノベラーに「……僕はここにいてもいいんだ!」と錯覚させ、ずっとライトノベルを読むことを肯定させた記念碑的作品。多くのライトノベルがTeenな主人公を採用するにもかかわらず、日々迫る“将来”へ対する憂鬱を未だ描けずにいるが、10余年前に出版された本作は、その第1章「浪漫の騎士」で《ブギーポップ》というファンタジーを絡めて見事に描いた。頁をめくれば、そこにモラトリアムなアンニュイがある一作。思春期のうちにどうぞ。

ライトノベルと大衆小説のクロスオーバーの先陣を切った作品……というと、やや語弊があるかもしれないが、ライトノベルというジャンルが時代の潮流的に求めていた「シリアス」な一面を押し出してきた一作。何が「シリアス」なのか?それは本作の「1章」、続く「2章」に目を通せば分かるだろう。ただ、「3章」以降は趣味の分かれるところ。白馬の王子様的ロマンスが待っている。誰が呼んだか、有川浩の「自衛隊三部作」の一作目。

バッド・ボーイ製造機、成田良悟のデビュー作。禁酒法時代末期のアメリカを舞台に、マフィアを交えた不死の酒を巡る群像劇を展開する。映画を思わせる歯切れの良い場面切り替え、マフィアを雰囲気損なうことなく、ライトノベル仕様に仕立てているのが特徴。キャラクター先行の物語には違いないが、いわゆるライトノベルとは一線を画す徒花的作風。

題材は王道、「野球」……主に筆力(ex.「努力」場面の処理など)の関係で、スポーツを題材としたライトノベルの成功例は数えるほどだが、その稀少な成功例に挙げられるのが本作。実在するプロ/アマ問わずの選手のエピソードを交え、現実ではなかなか「一見」出来ない、「百聞」な知識を施してくれる。それまで興味の無かったジャンルへ好奇心の芽を植えてくれる有用なライトノベル。時事ネタが多く、鮮度が切れてしまっているのが残念。

巷にあふれ返る「陰陽師」を題材にした作品のなか、ライトノベラーが卑屈になることなく自信を持って薦められるだろう「陰陽師」題材のライトノベル。マニアックになり過ぎない知識、作品のために誂えた文体、陰陽師と云えば、……の「阿倍晴明」も差別化を図ったデザインで、安易なアイディアを挟んでこない。著者の真摯な創作姿勢がうかがえる作品。

猫が好きならば、=ライトノベラー!は成り立たなくても、ライトノベラーならば、=猫が好き!が成り立つほどに、ライトノベラーは<猫>に弱い。本作は、随所で猫が徘徊する作品。ただ、単なるマスコットものかといえば「話」は違う。ほのぼのした日常にどこかバッドエンドが薫る。派手さに欠けるが、そこに渋味があるライトノベル。

☆☆  総評  ★★

ランクイン作品をご覧になれば分かる通り、錚々たる顔ぶれ……というよりも、わざわざ選ばなくても、一端のライトノベラーの皆さんならば既読済みの有名作ばかりが並んでしまったが、1位と2位の作品に関しては事実上、電撃文庫を象徴する作家のデビュー作なので誰が選んでも動かしようがなかったかな、と。3位以降が人によって選ぶ作品も順位も変わる印象。第10回までの電撃小説大賞《大賞》受賞作は、7作。そのうち、第2回の『ブラック・ロッド』、第9回の『キーリ 死者たちは荒野に眠る』の2作がこの手の企画で支持を集めそうな作品だが、個人的に前者はいかにもSFから路頭に迷って投稿されたような作風から、後者はTeen受けする翳りがあるので【次点】にするか迷ったものの、コンパクトさに欠ける印象で選外にした。この他、私の中でランクインさせようか迷った、第6回の『ダブル・ブリッド』、第7回の『ウィザーズ・ブレイン』、第9回の『七姫物語』あたりもそれぞれ長期シリーズとなった事実からもランクインに相応しい支持を受けるかな、と。そんな中、3位、4位、5位の作品を選んだ理由は、エンターテイメント面の質の高さもさることながら、当時の電撃小説大賞らしい、「イロモノ」手前のライトノベル具合から。3位の『バッカーノ!』は、ストーリー展開こそ難があるが、著者の成田良悟のキャラクター作りと演出はやはり他作品では見掛けない魅力がある。4位の『若草野球部狂想曲』は、これぞ知る人ぞ知る良作。時事ネタが多く(阪神の川尻って言っても現代っ子はもはや解らんだろう)、完全な消費期限切れを起こしているので是非とも【現代版】としてリメイクして欲しい。それでも、読む価値は十分にある鮮度切れの一作だ。5位の『陰陽ノ京』は単純にライトノベルを読もうとして、……ライトノベル?と首を傾げてしまう感じになるので「5位」に置かせて頂いたが、受賞作中一番「巧い」ので、その意味でも読む価値はあると思う。次点の『吸血鬼のおしごと』は、とりあえず「猫」が出ているので推してみた……と云うのは半分冗談で、半分は本気だ。賞の歴史やらを重視するなら、第7回の『天国に涙はいらない』を選んでも良いかもしれないが、今読んでもそれ程価値があるとは思えないので選外にしました。そんな感じで、【第11回~第20回】編も該当受賞作を全部読み次第、作ってみようと思います。ではでは!

以下に電撃小説大賞の受賞作のみの【点数一覧】を付け足しておきます。相対評価なので、ちょいちょい点数は前後しますのでご了承下さい。

☆ 受賞作:点数一覧 ★



80

79  陰陽ノ京/渡瀬草一郎  【第5位】

75

☝  満足  ☟  普通


74  

73

72  我が家のお稲荷さま。/柴村仁
    ブラックロッド/古橋秀之
    リングテイル 勝ち君の戦/円山夢久

71  吸血鬼のおしごと/鈴木鈴  【次点】

70  ブギーポップは笑わない/上遠野浩平  【第1位】
    七姫物語/高野和

69  塩の街 wish on my precious/有川浩  【第2位】
    天国に涙はいらない/佐藤ケイ
    バッカーノ! The Rolling Bootlegs/成田良悟  【第3位】

68  ウィザーズ・ブレイン/三枝零一
    ダブルブリッド/中村恵里加

67  大唐風雲記 洛陽の少女/田村登正

66

65  

64  キーリ 死者たちは荒野に眠る/壁井ユカコ
    シャープ・エッジ stand on the edge/坂入慎一

63  若草野球部狂想曲 サブマリンガール/一色銀河  【第4位】
    結界師のフーガ/水瀬葉月

62  先輩とぼく/沖田雅
    五霊闘士オーキ伝 五霊闘士現臨!/土門弘幸

61  

60  冒険商人アムラフィ 海神ドラムの秘宝/中里融司

☝  普通  ☟  不満


59  

58  悪魔のミカタ 魔法カメラ/うえお久光

57  クリス・クロス 混沌の魔王/高畑京一郎

56  シルフィ・ナイト/神野淳一
    猫目狩り(上巻/下巻)/橋本紡

55  パンツァーポリス1935/川上稔
    月と貴女に花束を/志村一矢

54  NANIWA捜神記/栗府二郎
    天剣王器 dual lord reversion/海羽超史郎

53  僕の血を吸わないで/阿智太郎
    学園武芸帳「月に笑く」/白井信隆

52  コールド・ゲヘナ/三雲岳斗

51  

50  シュプルのおはなし Grandpa's Treasure Box /雨宮諒

49

48

47  

46

45  インフィニティ・ゼロ 冬~white snow/有沢まみず

☝  不満  ☟  アマチュア


35

21  A/Bエクストリーム CASE-314[エンペラー]/高橋弥七郎

現在、2014年03月04日/修正

category: この受賞作を読め!

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