ナマクラ!Reviews

03/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./05

第5回メフィスト賞 受賞作:記憶の果て/浦賀和宏

記憶の果て
(あらすじ)
親父が死んだ。自殺だった。俺は安藤直樹。親父が残したパソコンのなかにいるのは裕子。いや違う、あれは単なるプログラムにすぎない。でもプログラムに意識が宿ったのならば……いったい彼女は何者なんだ!?徹底した方法意識に貫かれたテクストが読者を挑発する、第五回メフィスト賞に輝くデビュー作。

answer.――― 60 点

おふくろは言った。
「お父さん死んじゃった」
親父が死んだ。自殺だった。

この繰り返しが長らく続き、心、ここに非ず……な日常を丁寧に、そして、しつこいまでに演出してくる本作は、浦賀和宏の19歳でのデビュー作であり、これより刊行続く「安藤直樹」シリーズの第1作目。その内容は、唐突に自殺した父の書斎で見つけたパソコンがあたかも意志を宿しているかのような……という何とも不穏なものなのだが、冒頭の通り、ストーリーそれ自体の展開は遅々としたもので、率直に「退屈」と云えるだろう。それでも、本作、なかなか「挑戦」的な作風なのは惹かれるところ。「自分探し」「PCへの憧憬」とファンを含めた各レヴューサイトの言及にあるように、ジョージ・ウィンストン、エンヤ、YMOといった音楽が主人公の趣味として挿し込まれ、出版当時のPCという未知への伺い、己を冷やかに痛めつける思考を垂れ流す等、描き方が私小説のアプローチに近い。「面白ければ何でもあり」と掲げるメフィスト賞だが、基本は「ミステリー」をベースにした作品が多く、そこをエンターテイメントの軸に置いているが、本作は主人公とそのネガティヴな「日常」を押し出している。読み手を楽しませる目的で書いているとは言い難いので、人を覗きたい、共感したい、といった目的で手に取るべきだろう。19歳という、背伸びしたい我こそSpecial Oneな年頃ならではの一作。

第5回メフィスト賞 受賞作:記憶の果て/浦賀和宏

category: メフィスト賞

tag: OPEN 60点 浦賀和宏

[edit]

page top

« 2014年04月のレヴュー更新(まとめ)  |  第4回メフィスト賞 受賞作:Jの神話/乾くるみ »

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/965-b142714e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top