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新潮社:冬虫夏草/梨木香歩

冬虫夏草
(あらすじ)
亡き友の生家の守を託されている駆け出し文士、綿貫征四郎。行方知れずになって半年余りが経つ愛犬ゴローの目撃情報に基づき、家も原稿もほっぽり出して鈴鹿山中に分け入った綿貫を瞠目させたもの。それは自然の猛威には抗わぬが背筋を伸ばし、冬には冬を、夏には夏を生きる姿だった。人びとも、人にあらざる者たちも……。

answer.――― 69 点

本作は散文的秀作『家守綺譚』の派生作品『村田エフェンディ滞土録』を挟んでの、満を持しての家守・綿貫征四郎を主役にした続編。がしかし、『家守綺譚』のVo.2を期待していると多くの人は肩透かしを食らうことになるだろう。つれづれなるまゝに、とはかの『徒然草』のオープニングだが、これを(読み手から)求められる作品は、それだけで傑作たり得る。『家守綺譚』はそういう類の作品だった。梨木香歩が「つれづれなるまゝに」綿貫征四郎に怪異を目の当たりにさせ、「言われてみれば、そんなものか」と受け入れさせる展開は、何とも心地良い「(非)日常」だったが、本作では梨木香歩に「われわれ楯の會は、自衞隊によつて育てられ」的なヒットを狙う気負いが感じられ……要するに、真面目に書くなや、と。『決闘ワルツ』のレヴューでも言及したが、絶対に「売れる」文章、というものがある。梨木香歩はそれに意図して手を出し、「誤った」のが残念ながら本作だ。設定こそ引き継がれているものの、本作は『家守綺譚』にて披露されていた「つうと言えばかあ」の心地良い《余白》がない、いわば《書き過ぎ》の作品。時折り、その《余白》を思い出したかのように出してくるのがまた、こちらを渋面にさせてくれる。新登場の菌類学者・南川だが、もっと「推して」も良かったと思う。大方、幽霊・高堂との書き分けがイマイチ出来なかったからだろうが……。再び続編を描くなら、「つれづれなるまゝに」自分も楽しんで書いて欲しい。これ、自分でも書いててつまんなかったろ?

新潮社:冬虫夏草/梨木香歩 (2013)

category: な行の作家

tag: OPEN 60点 梨木香歩

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コメント

やっぱり...

やはり、読んでいましたね。
そして、評価は決して高くない(笑)
巷の評価は高いようですが、「家守綺譚」が好きな人からすると、やっぱり肩すかし感は否めないかと。
無理に続編にせずに、別作品として書いていれば、面白くなり得た小説かもしれないとは思うのだけど、ちょっと欲張りすぎての迷走感が漂ってましたよね。
確かに「余白」が欲しかった...(^-^;)

ちゃき #Qi8cNrCA | URL | 2015/04/19 21:44 | edit

Re: ちゃき

コメント、有難うございます!

> 巷の評価は高いようですが、「家守綺譚」が好きな人からすると、やっぱり肩すかし感は否めないかと。

そう、別につまらないなんて言うつもりは全くないんですが、これを「同じ」じゃねえのはお前も分かっているよね?と本人の眼前で唾棄したくなる出来なのが厳しかったですね。物語なんて考えず、適当に書いてりゃ良かったんですよ。それを金目当てか知りませんが、自分で自分を汚す仕上がりにし腐って(怒)

> 確かに「余白」が欲しかった...(^-^;)

本当に期待してしまっていただけに、残念極まりないです(´・ω・`)

Medeski #- | URL | 2015/04/20 16:50 | edit
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